渋谷ハロウィンに集まった群衆

大勢の若者が詰めかけた2018年の渋谷ハロウィン。

軽トラが引っくり返され、痴漢などの逮捕者も続出...。ハロウィン当日の10月31日を待たずに、街は人でごった返し、トラブルが続出していることが報じられていた。

渋谷区の長谷部健区長は、緊急声明を発表し「モラルを守って」などと呼びかける事態になっていた。

果たして渋谷区長の声明は役に立ったのか。どうすればこの騒動のエネルギーをポジティブな「祭り」に変換できるのか。31日夜の渋谷で、現場を歩いて考えた。

若者と外国人、仮装の人々

午後9時、渋谷に降り立った。駅からスクランブル交差点、センター街方面まで、既に人混みがすごい。

スクランブル交差点には、ひとつの横断歩道に警察官が4人ほど立ち、ロープも使って交通整理をしている。ごった返しているが、歩けないほどではない。

肌寒い気温にも関わらず、露出の多い女性の姿も目立つ。若者と外国人が多いようだった。

「一緒に写真撮ってもらっていいですか?」という声が至る所から聞こえる。

路上では様々な仮装をしている人たちが、スマートフォンで自撮りをしている。

"渋谷ハロウィン"では定番となった行動だ。

ゾンビにマリオに囚人、ZOZOスーツを着ている人もいるのが2018年「らしさ」か。

YouTuberらしき男性2人は、「今日で何人フォロワー増えるかな」と言いながらビデオカメラを回していた。

渋谷ハロウィンに集まった群衆

路上の飲み会、露天商の出現。確かに、飲食店にもお金が落ちていないようだ。

「テキーラ飲みませんか? テキーラ飲みましょう!」

センター街に入ると、歩道の端で「テキーラ500円」と書かれた紙を持ち、売り子が声を張り上げているのが見えた。

突如現れた、露天商。普段の渋谷ではあまり見られない異様な光景だ。

午後10時過ぎ。センター街から少し外れた、文化村通りの「MEGAドンキホーテ」付近では、あちこちで「飲み会」が始まっていた。路上でウイスキーなどをまわし飲みしているのだ。

知り合い同士数人で始まった飲み会は、周りを巻き込んで、どんどんその輪が大きくなっていく。

事前の取材で、区の担当者には「現場にやってきた人たちはほとんどお金を使わず、区内の飲食店関係者の多くは、ハロウィンを迷惑なイベントと感じている」と聞いていた。それを裏付ける光景だった。

吐瀉物の臭いが漂ってきた。しかし、まだこの時点では「楽しいハロウィン」ではあった。

 

終電前後、圧倒的に増えた「迷惑行為」

11月1日午前0時頃。終電を過ぎる頃だ。「楽しみに来ただけの人」は帰ったようだ。迷惑行為が目立ってきた。

センター街の奥にある東急ハンズ。その前の神南小学校下の交差点に、「いかにも」な車が現れた。スピーカーを積んだトランクを開けたまま爆音で音楽を鳴らし、運転手や同乗者と思しき男性数人が路上で踊っている。野次馬の中から参加する者もおり、少し人だかりができていた。

渋谷ハロウィンに集まった群衆

車を避けるように路地へ入ると、男女4人組が円形にしゃがみ込んで奇声を上げていた。

一人の男がパンツを脱ぎ、地面に置いて火をつけ、その火に自分の陰毛を近づけ始めた。とても嬉しそうで、「罰ゲーム」という感じでもなかった。今回の取材で一番理解できない出来事だった。

午前0時半頃。井ノ頭通りの交番付近では、警察官たちが終電の告知を始めた。「電車があるうちに速やかに帰りましょう」という拡声器からの声が響き渡る。

しかし、声を出している警察官のすぐ前で、酔った女性三人組が「終電はもうありませーん」と笑っている。すぐ側では二人の男性の喧嘩が始まりそうになり、警察官が制止していた。

午前1時。東急ハンズ前には、爆音を鳴らす車がさらに増えていた。人だかりも倍近くになっていて、片側1車線の道路を丸々埋め尽くしている。

このあたりにはホテルや住宅もあるのだが...。この様子を隣で同じように見ていたスーツ姿の男性が「世紀末だな...」と漏らした。

通報があったのか、パトカー2台がやって来て車両の音を止めさせ、移動させた。

しかし、車両が移動した後も、交差点を通る車の周りに群衆が集まり、運転手に手を振り、奇声を発していた。窓から手を出し、群衆の掛け声に応える運転手も多かった。

午前4時半。電車の始発が動き始める時間だ。

センター街ではまだ騒いでいる人たちがいる。路上には、寝ているのか起きているのかわからない多くの人が座り込んでいる。最後のナンパチャンスに賭けている男性たちもいた。

 

清掃活動の開始

清掃のために早朝から集まった人々

午前6時。いろいろな団体が清掃活動を始めた。

多くがTwitterで呼びかけて集まったグループのようだ。仮装して清掃している人もいれば、深夜にはあまり見なかった中高年もいる。

開始1時間ほどで、センター街のゴミは目立たなくなった。

そして午前8時。いつもの渋谷が始まろうとしていた...。

 

中途半端な「お願い」や「規制」では、もう無理。ならば...

夜通しこの街を歩いて、私が感じたのは「中途半端な声かけ的規制は意味がない」ということだった。一時はもてはやされた「DJポリス」でも、もう無理だ。

迷惑行為をする人々は、車のナンバーなどから推察するに、普段渋谷を遊び場としている人々とは違う層ではないかと感じた。

今年の騒ぎは、「いつもの渋谷に遊びに来たら、ハロウィンだったので羽目を外してしまった」というレベルではなかったように思う。ハロウィンを言い訳に、最初から迷惑行為をする気満々の人々に、区長が「モラルを守って」と呼びかけても、無理があるだろう。

一方で、希望を感じたのは、あれだけの人数が渋谷に集まり、そのエネルギーが街に充満していたことだった。ただ、そのエネルギーを生かす良い仕組みはまだなく、現在のそのほぼ唯一の行き場が「清掃活動」なのだと思う。

これは、今年までPR会社に勤めていた私の単なる思い付きだが、例えば企業を巻き込んで広告やサンプリングの場にするということはできないものだろうか。

警察官は、確かにスクランブル交差点付近には多数配置されていたが、センター街より奥にはほとんど見当たらず、その都度、通報を受けて対処しているようだった。警備や交通整理の人員にも限界があるのだろう。

それを補うために、たとえば、企業などから、渋谷区が広告費などとして徴収したお金を原資に、清掃や警備員、交通整理の人員を雇うなどしてみてはどうだろうか?

企業にとっても、インフルエンサーにもなりうる「リア充」「パリピ」層の気持ちをつかむマーケティングをすることは、意外に利益に叶うことかもしれない。

実は、この発想が生まれたのは、清掃をしていた集団の中に、「Uber Eats」のリュック背負った集団がいたからだ。

話を聞くと、Uber Eatsが主体ではないが、Twitterで有志が声をかけて集まったそうだった。企業が仕掛けたものではないが、「Uber Eats」が社会貢献をしているという、良い宣伝になっているのではないかと感じた。

出前の進化版「Uber Eats」のイメージ写真

テレビではコメンテーターが「若者は何をしているんでしょうねえ」「モラルが低すぎる」と嘆いている。確かにその通りの部分もある。

しかし、私が感じた夜の街に充満していた、あの圧倒的なエネルギーを生かさないのはもったいないようにも思ったのだ。

Source: HuffPost Japan

EMBC情報微生物工学とSWAハイテク素材工学から誕生した究極のアイテム
おすすめの記事